よみかき勘定

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【インタビュー】もう「貧困はかわいそう」という時代じゃない|水無田気流

産婦人科医さんがシェアしていて知った記事。

wotopi.jp

貧困についてはいろいろと注目が集まるカテゴリになってきました。シングルマザーの貧困は、際立って目立つようになったのはバブル以降だと思うんだけど四半世紀も語られているのに全く改善しない。むしろ景気とともに悪くなってる。

以前、シングルマザーになろうとして、いろいろ調べたら、出てくるのは恐ろしいほどの「現実」という名の重心の偏った社会の仕組みでした。

 

どんなものかといえば

寡婦と未婚の母の違い

・女性の生涯年収から見る、シングル「マザー」の苦しさ

・子持ち女子の就職難…「母子家庭等就業支援センター」で思い知ったこと

・「戸籍」という幻想と現実

 

そんな「偏ってる」と感じたカテゴリについて、ひとつづつお話ししていこうと思います。

 

寡婦と未婚の母の違い

 ひとくくりに「シングルマザー」と言っても、離婚をしてシングルマザーになった「寡婦」と、結婚せず一人で出産し、籍を入れられないまま一人で育てる「未婚の母」があります。世間一般にみると同じひとり親家庭として変わらないように見られますが、「未婚の母」は「寡婦」が受けられる控除が受けられません。

寡婦控除についてはこちら

No.1170 寡婦控除|所得税|国税庁

 このページはその差についてわかりやすく説明してくれてるかも

未婚のシングルマザーも「寡婦控除」で税金の負担減? [税金] All About

各自治体に判断をゆだねるところもあるようですが、それだったら差のない自治体を選びたいなあと思うところ。 

 

・女性の生涯年収から見る、シングル「マザー」の苦しさ

 厚生労働省の賃金構造基本統計調査から、性別と年齢差の表をまずご覧ください。

平成26年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

私が以前見た表は企業規模、職種にも分かれていたものでしたが、こちらも明確にわかりやすいので、どん。

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お気づきでしょうか?

男性は30代から300万円台に上がるのに対し、女性は200万円台です。男性が20代のころの倍の年収をもらうようになる40代においても、260万円止まり。

ピーク時の年収差は180万円、年齢計では91万円です。

女性が担当する仕事の分野が事務職など、もともとの賃金が高くないという傾向もありますし、出産後の女性の職場への復帰に関しても、いろいろな選択もありますし状況もあるかと思いますが、男性と同じ仕事をしている場合であっても、一般的には男性ほど収入を得られないのが現状です。

就職難については、以下の項目で述べます。

 

・子持ち女子の就職難…「母子家庭等就業支援センター」で思い知ったこと

 実際にシングルマザーの方に「何かのヒントになれば」と教えていただいた母子家庭等就業支援センター、ジョイナス.ナゴヤ

 子供を持つ方の願いは、仕事をしながらも子供との時間も十分持ちたい、というもの。それはシングルもカップルも一緒です。だがしかーし、シングルで実家も遠く、親の援助も得られない場合にはそんなこと言ってるよりも1円でも多くの賃金をもらえて社会保障も手厚い企業にフルタイムで就職したいというのが願い。

しかしながら、この就業支援センターに寄せられる求人はほぼパートタイム。正社員募集は稀だそうです。ただ、こちらの活動としては、再就職に対しての職業訓練的な支援や子育て支援などが中心であり、その名の通り「就業支援」の施設です。

とはいえこちらで職業訓練を受け、ハローワークに出向いたところでも、同じように子供のいる母親の採用については消極的なのが現状。ハローワークにもワーキングマザーコーナーなども設置されておりますが、それこそパートタイム中心の紹介です。

なんでしょう、この社会のニーズシーズのすれちがいっぷり。

シングルほど稼ぎたい現実があるのに、社会からのニーズは「時給で安く働いてね」「その代わり定時で帰れるから」です。

就業したくとも保障のある、賃金の約束された正社員の椅子が少ない。それでも働ける場所があればいいと働き始めることで、ますますシングルマザーが貧困化していく、という現実があります。

 正直なところ、シングルファーザーには「ああ、おじいちゃんかおばあちゃんが面倒みてくださるのね」「子供が熱を出しても急に帰らないし、残業も大丈夫だよね」というバイアスがかかり、パパ側から言い出さない限り、就職にはシングルでもカップルでも子供がいることの影響はないという前提での就職が可能。(そんなことない方も多くいらっしゃるとは思いますが)

 

あとね、離婚しても養育費とか慰謝料とか入ってくると思ってるでしょう?現実にはきちんと払ってる男性なんて2割程度ですから。

www.mhlw.go.jp

 

・「戸籍」という幻想と現実 

非婚の親と婚外子―差別なき明日に向かって

非婚の親と婚外子―差別なき明日に向かって

 

 戸籍制度があるのは、日本と戦時下に占領下だった台湾、韓国。だそうです。

夫婦別姓の議題が掲げられると、政治家の先生方はえらいこと歴史のあるもののように語られますが、実は明治時代からの100年くらいしか実施されていないもの。世代としても4~5世代です。それを「日本の伝統が」とかおっしゃる。爆発しろ。

戸籍制度でもいいこともあります。ムラ社会のような連座責任が発生しやすいので、犯罪の防止にもなるとか、いろいろ(この辺は個人的感想です)。

 離婚シングルマザーは、父親欄に名前が載ります。未婚シングルマザーは、認知されなければ父親欄が白紙のままです。そんなたかだか100年しかたってない戸籍制度にも差別されなければいけない。

現在プライバシー法もかなり厳しくなっているのでナンバー制が導入されても個人の家庭事情まで調べられることはないかもしれませんが、やっぱり父親のいない子、という見方は大人になってもされるし、保守的な親に育てられた子と結婚することになったら肩身の狭い思いをすることもあるかもしれない。そういうことも考えないといけないという事実を、先に掲げた本から思い知らされました。

解決方法として、母数が多くなりゃいいんだ、母数が。

  

このページで紹介されている女子貧困本。後で読むための備忘録

シングルマザーの貧困 (光文社新書)

シングルマザーの貧困 (光文社新書)

 

 

最貧困女子 (幻冬舎新書)

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失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで

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女子高生の裏社会 「関係性の貧困」に生きる少女たち (光文社新書)

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あと、これも読みたい。

 

ニッポンの貧困 必要なのは「慈善」より「投 資」

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