【読書】2100年、人口3分の1の日本|鬼頭宏
「少子高齢化」の現実についてもうちょっとちゃんと知ろう、と思って手に取った本。
2100年、人口3分の1の日本 (メディアファクトリー新書)
- 作者: 鬼頭宏
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2011/04/28
- メディア: 新書
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2011年の発刊ですが、4年たった今でも内容は古くなく、むしろ2100年に現実の人口数と推移を比較したいところ。って私何歳だ。
著者はもともと歴史人口学者で、歴史における人口の推移を見る中で「隆盛~飽和~衰退~回復」というサイクルを繰り返しており、日本においては海外との交易がある時期に隆盛し、鎖国をすると衰退する、という現象があるとのこと。
ただ、著者は歴史を人口から推し量るのが主たる研究なため、未来を推測するこの著書は相当な難産だったとのこと。しかしながら平易な表現でわかりやすく、
1. このままの出生率で推移した際の日本の人口
2. 人口3分の1の日本の経済、地方、人間関係
3. 移民を受け入れる場合の人口推移とその影響について
などのそれぞれのパターンについて書かれていて、すんなり読めました。
以下、気になったトピック
・社会が成熟すれば人口が衰退するという流れは過去歴史上に何度も発生している
・1974年に日本政府は「人口静止」を謳っている
・過疎地域などの集落の自然死も予想されるが、「積極的な撤退」も始まっている
・ 「家族」という形態の変容が生まれる
・離婚率は江戸時代と同等に
・鎖国していた日本は人口が減り、文化の向上もあまり芳しくない
など。
特に「家族」という形態、の部分で「婚姻している家族の出生率はあまり変化していないが、晩婚化、未婚化が進んだことが少子化の原因」とされており、現在進められている子ども手当であったり2人目、3人目の支援はすでに1人以上子供を持つ家庭向けの支援で、その晩婚化、未婚化を未然に防ぐ対策を取っていくべきでは、との指摘が文中にありました。
政府が子供も老人も家庭でみろ、という方針を出している以上、なかなかその部分を改革していくには時間もかかるし難しい部分も多いとは思います。実際に「未婚化」の原因として個人の年収が上がらないので結婚に踏み切れない、という事例はいくつもあるので(まあそんなん大概言い訳ですが)、せめて保育園や託児の認可施設が多くなってもっと安価で利用できるような支援と、子育て〜進学に関わる部分の支援の幅が広がれば違ってくるんじゃないのかなあとぼんやり考えております。
並行して読みたいなと用意していた本、ライフネット生命会長兼CEOの出口治明氏の「日本の未来を考えよう」データを元にこれからの日本をひも解いております。この「2100年、人口3分の1の日本」の著書と出口会長の共通点として、お二人とも「海外との交易で文化・経済が活性化する」「日本の将来は明るい」とおっしゃられていて、本を読み進めるの楽しみ。