よみかき勘定

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【読書】思いもよらぬ知恵を授かる|創造の方法学

まちづくりの狂犬、木下斉さんが「今ならKindleでやすいですよー」とご紹介されていてつい書籍を購入した1冊(本末転倒)

 

実際、どういったジャンルの本かは全然知らずにアマゾンのレビュー読んで購入決めてしまいました。ほら、アマゾンのサービスが開始される前に刊行されている本なら「瞬間1位」キャンペーンとかないし。

 

著者は戦中に大学で学び、戦後に社会運動の活動に関わった上でスタンフォードへ留学したという、当時でも「亜流」な流れの学者さんのようで、日本では当時確立していなかった方法論を学び、日本に持ち帰った第一人者。

 

本の中で気になった部分を幾つか紹介します。

 

日本とアメリカとの、大学・レポートの違い

冒頭の部分なので、本文の内容につながるイントロダクションですが、日本とアメリカの大学で学習意欲の違いとレポートの充実度の違いが書かれています。

アメリカの大学ではいつでもどこでも学生が読書している、レポートの書き方が「記録的」なのが「方法論」なのかの違いがある、というところが35年も経過していても差が縮まらないところになんだか深い闇を感じました。

 

「原因」→「結果」が立証されたら、「結果」が「原因」となる

文章の中に何回か繰り返し3つの手順が表現されていますが

(1)変数を確定し

(2)因果関係を明らかにし

(3)複数の事例を比較する

という方法で抽象を具現化する、「見えていない」ものを「見える化」することで量や室を測りそこから方法論を立証させるというもの。

 

哲学にしても社会科学にしても、文章だけでは伝わりにくいものを量的・質的に表すことで「事実」が見えてくる、ただ、そこに調査し分析する人間の「意図」がある場合もあると思うので、そこは内容と導入、結果についての洞察がいるんだろうなー、と思ってしまうのです。

 

とは言え「それ」と「それ以外」といった概念があり、それぞれを具象化することで見えてくる事実もたくさんあるということを改めて学んだのでした。

 

途中、理解が進まず繰り返し読み直した部分もありますが、全体的にとてもわかりやすく、新書の厚さなのでさらりと読み切れます。社会科学関係受講されてて、これからレポート書く学生さんにはいい参考図書になると思います。ご興味沸かれたかたはぜひ。

 

創造の方法学 (講談社現代新書)

創造の方法学 (講談社現代新書)