【読書】 とらわれない生き方 悩める日本女性のための人生指南書|ヤマザキマリ
今、これからの生き方を選びかねていて手に取った、というかKindleにて衝動購入。
どんだけ焦ってんだわたし。
内容を読んでみると、冒頭が読者の方のお悩み相談コーナー集のような内容だったため「あ、しまった」と思ってましたが、読み進めると北海道出身の骨太な内容が続々続きます。
・自分の中にマザーを持て
・貧乏でいいか悪いかなんて自分の基準。人の言うことあてにするな。
・お金のむなしさや幸せをお金に頼ることの意味のなさ
・「自分がいるから大丈夫」と思えること
・自分に向き合うための、人に死ぬまで見せない「日記」を書く
・まるで自惚れな自己肯定は、自分で自分の面倒を見るサスティナビリティを持っているイタリア人
・人は基本的に自由。勝手にあきらめたり、とらわれたりせずに、自由に動いて下さい。
・男と女は違う生き物。平等を求めるから、男性のできないことが気になって不満が出る。
・男と女は明らかに分かち合えない部分があることを認めましょう。
・人間という平等はあっても、男女平等というのは基本的にないと思っている
・大人ぶる日本人男子、子供っぽさを隠さないイタリア男
・身近なことより社会現象といった遠くにあるものにまず気を向けるのが、男性という生物
・女の方がよっぽどしぶといから、男が威張ること自体、実は気にしなくていい
・日本の若い子たちを見ていると、石になりたいのか、と思う
・子供なんて欲しくなかったけど、できたときは「世の中の孤児を全部うちによこしてちょうだい」ってぐらい母性が目覚めた
・いい子育ては、まず親がよりよく生きるところから始まる
・子供を産むには、2つの覚悟が必要になる。子供を育てる覚悟と、それと同時に自分も幸せにする覚悟
・日記を使ってアウトプットして、自分とのコミュニケーションを図る
・日本人は面倒くさがりなんじゃないでしょうか。恋愛やセックスも面倒くさいからしなくなっていたり
・あなたの悩みはあなたしか解決できません。
・自分を人の目に映してみてはいけない。
結論:悩むんなら動け。でした。シンプル。
イタリアと日本との比較は文化圏の違いなどもあるんですべて参考になるわけではありませんが、自分の中に核となる『マザー』を持つ、という視点は素敵だなあと。
早速自分でもやってみたいと思います。
また、異文化が交流する中で成熟していく社会、という内容も印象的でした。
日本はほぼ「鎖国」の状態が続き、現在も海外からの出稼ぎ・観光客など異文化交流、受け入れができる状況があっても、共存しているのは一部です。
著者のヤマザキマリさんから見て「成熟した」イタリア社会と、未成熟な日本社会は異文化の受け入れと消化ができているかどうかなのかな、という気もしています。
…思ったんだけど、「いつまで女子でいるつもりだ問題」と同様に、「日本人男子」とか「男子たる者」っていくつになっても使うよね…
「銀の匙」「鋼の錬金術師」の著者の荒川弘さんも同じように北海道出身の女性で漫画家、今仕事を一緒にしているスタッフの若い女性も北海道出身で、同様に腹が据わっててがんがん働く子なので、あの広大な土地が生み出すのは美味しい乳製品とジャガイモだけじゃないんだな、とつくづく感じている毎日です。
銀の匙 Silver Spoon コミック 1-13巻セット (少年サンデーコミックス)
- 作者: 荒川弘
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/06/18
- メディア: コミック
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【読書】ジェンダーにおける「承認」と「再分配」: 格差、文化、イスラーム|越智博美、河野真太郎
読みました。
ジェンダーにおける「承認」と「再分配」: 格差、文化、イスラーム
- 作者: 越智博美,河野真太郎
- 出版社/メーカー: 彩流社
- 発売日: 2015/03/25
- メディア: 単行本
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のっけから衝撃だったのが
「職業化されたどんな活動であっても、それが多数において女性によって行われるようになるとたちまち、自動的に、社会的地位の階層秩序の中で、価値を喪失することになるのである。それに対して、対応する性の交替が反対向きに推移する場合には、当該の活動領域は逆に地位を高めるに至る。どちらの性に属しているかという問題こそが、ここでは、社会的価値評価が記されることになるかを、労働内容の特色から独立して決定する文化的重要性として作用するのである。」(ホネット Umverterilung als Anerkennnung 182)
という一文。
乱暴な言い方をすると
女が働いている職場は賃金が低く見積もられ、
男が多数働いている業界はその逆になる。
また、その変動が発生した場合もしかり。
…いや、なんとなく知ってましたよ。そりゃね。
サービス業や育児、介護にかかわる女性の賃金は全く上がらないけど、そこに関わる医療系の企業に勤める男性の賃金は以下略(偏見)
経済社会において女性の立場で働くことはある意味「搾取」が伴い、それによって経済もまわっているという事実も一部あり、自覚はしてたけど文章で確立されるのを目の当たりにすると、どうしようもない倦怠感が襲ってきてしまいしばらくやさぐれました。私の職場は男性しかいないので、周囲大迷惑。
ただ、それが「何故」発生するのか、が未だに私には理解できておりません。誤解を恐れず言えばしばしば「支配される性」となってしまう、また「搾取される性」となりがちな形というのは、私たちが作り上げているのか、はたまた「社会的通念として受け入れる」として私たちが受け入れているのか。
肉体的差異、子が産める・産めないという点でも男女であるが故に均等な平等はあり得ないと私は思っているので、その肉体的差異のみで「支配される性」「搾取される性」もしくは「社会的通念として受け入れる」ことなるのかが、いまだに腑に落ちておりません。社会に出て働いている母数が多い、ということも要因の一つになるかと思いますが、じゃあなんで母数が多く成れないんだ、という堂々巡りの考えばかり出てきます。
どなたかいい文献があればご教示ください。
ジェンダーがテーマなので、女性に焦点が絞られた内容ではありますが、その中でも資本主義社会における「承認」と「搾取」についても焦点が当てられ、それぞれの章で語られています。
気になったトピックのいくつか
・貧困とホームレスは違う
・ヘーゲル「市民社会は浮浪者を生む。浮浪者には「承認秩序」の自尊心も承認願望も欠けている」
・富の蓄積は失業を生む。失業という名の雇用が発生する
・都市部の貧困には注目が集まるが、田舎の貧困は取り残されたまま
・「グローバル化する経済において行かれる恐怖」
・「消費者としての能力」――それすらなかった母の時代
・子供の相対的貧困:二人親世帯は12.6%、ひとり親世帯は50.8%(赤石千衣子)
・「依存労働」「ケア労働」――「みんな誰かお母さんの子ども」(キティ)
・「集団自決」――したがうものと従わなかったものの心理
・「わたしはマララ」マララ・ユスフザイが流暢な英語で台頭することで打ち消される欧米の「罪」
など。
久しぶりに、見過ごしてたり許してたり、見ないようにしていた相対する性への感情をくすぐられる内容でした。昔はそれについて毒づいてたものね。若かったわー、自分。
【読書】2100年、人口3分の1の日本|鬼頭宏
「少子高齢化」の現実についてもうちょっとちゃんと知ろう、と思って手に取った本。
2100年、人口3分の1の日本 (メディアファクトリー新書)
- 作者: 鬼頭宏
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2011/04/28
- メディア: 新書
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2011年の発刊ですが、4年たった今でも内容は古くなく、むしろ2100年に現実の人口数と推移を比較したいところ。って私何歳だ。
著者はもともと歴史人口学者で、歴史における人口の推移を見る中で「隆盛~飽和~衰退~回復」というサイクルを繰り返しており、日本においては海外との交易がある時期に隆盛し、鎖国をすると衰退する、という現象があるとのこと。
ただ、著者は歴史を人口から推し量るのが主たる研究なため、未来を推測するこの著書は相当な難産だったとのこと。しかしながら平易な表現でわかりやすく、
1. このままの出生率で推移した際の日本の人口
2. 人口3分の1の日本の経済、地方、人間関係
3. 移民を受け入れる場合の人口推移とその影響について
などのそれぞれのパターンについて書かれていて、すんなり読めました。
以下、気になったトピック
・社会が成熟すれば人口が衰退するという流れは過去歴史上に何度も発生している
・1974年に日本政府は「人口静止」を謳っている
・過疎地域などの集落の自然死も予想されるが、「積極的な撤退」も始まっている
・ 「家族」という形態の変容が生まれる
・離婚率は江戸時代と同等に
・鎖国していた日本は人口が減り、文化の向上もあまり芳しくない
など。
特に「家族」という形態、の部分で「婚姻している家族の出生率はあまり変化していないが、晩婚化、未婚化が進んだことが少子化の原因」とされており、現在進められている子ども手当であったり2人目、3人目の支援はすでに1人以上子供を持つ家庭向けの支援で、その晩婚化、未婚化を未然に防ぐ対策を取っていくべきでは、との指摘が文中にありました。
政府が子供も老人も家庭でみろ、という方針を出している以上、なかなかその部分を改革していくには時間もかかるし難しい部分も多いとは思います。実際に「未婚化」の原因として個人の年収が上がらないので結婚に踏み切れない、という事例はいくつもあるので(まあそんなん大概言い訳ですが)、せめて保育園や託児の認可施設が多くなってもっと安価で利用できるような支援と、子育て〜進学に関わる部分の支援の幅が広がれば違ってくるんじゃないのかなあとぼんやり考えております。
並行して読みたいなと用意していた本、ライフネット生命会長兼CEOの出口治明氏の「日本の未来を考えよう」データを元にこれからの日本をひも解いております。この「2100年、人口3分の1の日本」の著書と出口会長の共通点として、お二人とも「海外との交易で文化・経済が活性化する」「日本の将来は明るい」とおっしゃられていて、本を読み進めるの楽しみ。
「ダライ・ラマとの対話」上田紀行著
先日参加した株式会社エバ主催の「エバシンポジウム」にて、ステージの上が綾戸智恵さん、穂高養生園の福田さん、文化人類学者の上田紀行さん、そしてエバ会長、という4人がステージに上がっているのですが、このうち2人がダライ・ラマと直接語り合ったことがあるとのこと。ステージ上の1/2の確率。そりゃすごい。
諸行無常を是とした日本での仏教徒、五体投地で祈りをささげるチベット仏教という、大きい違いがあるという偏見を持っている自分に響いた言葉、
「仏教的思考」で語り合う日本人の精神状態とこころとは、
というのが気になって会場で「生きる意味」と一緒に購入にしました。
こちらの感想はまた別ページにありますので、よかったら。
この「ダライ・ラマとの対話」の中にも出てくる、日本の若者の物質主義と利己主義について2日目のテーマを語り合っているので、下敷きにまず読まれることをお勧めしまう。
この本自体は、2007年に2日間にわたってダライ・ラマの居城であるダラムサラで行われたインタビューをまとめたもの。インタビュアーの上田紀行氏の著書、今回のインタビューの下敷きになる上記の「生きる意味」もふくめ、上田氏自身が仏教家たちの支援をしているということもあり、仏教的な内容が多く語られています。
本の中で印象的だったのは2点
・持つべき執着と持たざる執着
・日本人のアイデンティティと物質至上主義
上記について述べたいと思います。
・持つべき執着と持たざる執着
先述の通り、上田氏が仏教家の支援をしているということもあって、仏教の教えについて語られる部分が多くありました。特に「執着」について。
仏教は持たざる教えをしている、執着を捨てよと言っているのでは?
という上田氏の問いに対して、猊下は
僧侶が衆生を救うことに執着せざるならば、何の役に立とう
という言葉をもって答えます。「持つべき執着と、持たざる執着がある」と。
知恵と慈愛をもって情熱的に答えるダライ・ラマに対し、それに比較して…と上田氏が憂うのは、日本の高僧たちの「ダライ・ラマ」に対する敬意ではなく、アイコンとしての扱い。日本人らしい「執着」の形だなあと感じてしまうわけです。
・日本人のアイデンティティと物質至上主義
この本のテーマにもなっている「利他主義」は実現するのか、という部分。実際に今の日本でも、「いい人」という人ほど、その犠牲になっている。優しい人はどんどんその優しさを利用されて剥奪される、という印象があります。
戦後の高度経済成長の波にのり、「経済成長という神」が居なくなった今、アイデンティティを取り戻すために何が必要なのか。ダライ・ラマは「本来持っている伝統と、ここまで成長してきたテクノロジーを融合されたら」と提案します。捉え方、見つけ方ガポジディブ(って、軽い言い方になっちゃいますが)。なぜそう言い切れるか、という部分もふくめてダライ・ラマが今まで経験してきた国を追われてからの時間の流れとチベットを思う気持ちが、「日本はまだまだやれる」という言葉に現れるのであれば、その言葉の重みを感じずにはいられない内容でした。
自国の民をそのままに、不本意にも亡命し、今も自国を憂いて世界を巡るこの智恵と慈愛にあふれたダライ・ラマの幼少期~青年期に俄然興味が湧き、ハインリヒ・ヒラ―の「セブン・イヤーズ・イン・チベット」も途中まで読んで本棚に放り込みっぱなしだったのを思い出して、また引っ張り出して読み始めています。
セブン・イヤーズ・イン・チベット―チベットの7年 (角川文庫ソフィア)
- 作者: ハインリヒハラー,Heinrich Harrer,福田宏年
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1997/11/25
- メディア: 文庫
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【インタビュー】もう「貧困はかわいそう」という時代じゃない|水無田気流
産婦人科医さんがシェアしていて知った記事。
貧困についてはいろいろと注目が集まるカテゴリになってきました。シングルマザーの貧困は、際立って目立つようになったのはバブル以降だと思うんだけど四半世紀も語られているのに全く改善しない。むしろ景気とともに悪くなってる。
以前、シングルマザーになろうとして、いろいろ調べたら、出てくるのは恐ろしいほどの「現実」という名の重心の偏った社会の仕組みでした。
どんなものかといえば
・寡婦と未婚の母の違い
・女性の生涯年収から見る、シングル「マザー」の苦しさ
・子持ち女子の就職難…「母子家庭等就業支援センター」で思い知ったこと
・「戸籍」という幻想と現実
そんな「偏ってる」と感じたカテゴリについて、ひとつづつお話ししていこうと思います。
・寡婦と未婚の母の違い
ひとくくりに「シングルマザー」と言っても、離婚をしてシングルマザーになった「寡婦」と、結婚せず一人で出産し、籍を入れられないまま一人で育てる「未婚の母」があります。世間一般にみると同じひとり親家庭として変わらないように見られますが、「未婚の母」は「寡婦」が受けられる控除が受けられません。
寡婦控除についてはこちら
このページはその差についてわかりやすく説明してくれてるかも
未婚のシングルマザーも「寡婦控除」で税金の負担減? [税金] All About
各自治体に判断をゆだねるところもあるようですが、それだったら差のない自治体を選びたいなあと思うところ。
・女性の生涯年収から見る、シングル「マザー」の苦しさ
厚生労働省の賃金構造基本統計調査から、性別と年齢差の表をまずご覧ください。
私が以前見た表は企業規模、職種にも分かれていたものでしたが、こちらも明確にわかりやすいので、どん。
お気づきでしょうか?
男性は30代から300万円台に上がるのに対し、女性は200万円台です。男性が20代のころの倍の年収をもらうようになる40代においても、260万円止まり。
ピーク時の年収差は180万円、年齢計では91万円です。
女性が担当する仕事の分野が事務職など、もともとの賃金が高くないという傾向もありますし、出産後の女性の職場への復帰に関しても、いろいろな選択もありますし状況もあるかと思いますが、男性と同じ仕事をしている場合であっても、一般的には男性ほど収入を得られないのが現状です。
就職難については、以下の項目で述べます。
・子持ち女子の就職難…「母子家庭等就業支援センター」で思い知ったこと
実際にシングルマザーの方に「何かのヒントになれば」と教えていただいた母子家庭等就業支援センター、ジョイナス.ナゴヤ。
子供を持つ方の願いは、仕事をしながらも子供との時間も十分持ちたい、というもの。それはシングルもカップルも一緒です。だがしかーし、シングルで実家も遠く、親の援助も得られない場合にはそんなこと言ってるよりも1円でも多くの賃金をもらえて社会保障も手厚い企業にフルタイムで就職したいというのが願い。
しかしながら、この就業支援センターに寄せられる求人はほぼパートタイム。正社員募集は稀だそうです。ただ、こちらの活動としては、再就職に対しての職業訓練的な支援や子育て支援などが中心であり、その名の通り「就業支援」の施設です。
とはいえこちらで職業訓練を受け、ハローワークに出向いたところでも、同じように子供のいる母親の採用については消極的なのが現状。ハローワークにもワーキングマザーコーナーなども設置されておりますが、それこそパートタイム中心の紹介です。
なんでしょう、この社会のニーズシーズのすれちがいっぷり。
シングルほど稼ぎたい現実があるのに、社会からのニーズは「時給で安く働いてね」「その代わり定時で帰れるから」です。
就業したくとも保障のある、賃金の約束された正社員の椅子が少ない。それでも働ける場所があればいいと働き始めることで、ますますシングルマザーが貧困化していく、という現実があります。
正直なところ、シングルファーザーには「ああ、おじいちゃんかおばあちゃんが面倒みてくださるのね」「子供が熱を出しても急に帰らないし、残業も大丈夫だよね」というバイアスがかかり、パパ側から言い出さない限り、就職にはシングルでもカップルでも子供がいることの影響はないという前提での就職が可能。(そんなことない方も多くいらっしゃるとは思いますが)
あとね、離婚しても養育費とか慰謝料とか入ってくると思ってるでしょう?現実にはきちんと払ってる男性なんて2割程度ですから。
・「戸籍」という幻想と現実
戸籍制度があるのは、日本と戦時下に占領下だった台湾、韓国。だそうです。
夫婦別姓の議題が掲げられると、政治家の先生方はえらいこと歴史のあるもののように語られますが、実は明治時代からの100年くらいしか実施されていないもの。世代としても4~5世代です。それを「日本の伝統が」とかおっしゃる。爆発しろ。
戸籍制度でもいいこともあります。ムラ社会のような連座責任が発生しやすいので、犯罪の防止にもなるとか、いろいろ(この辺は個人的感想です)。
離婚シングルマザーは、父親欄に名前が載ります。未婚シングルマザーは、認知されなければ父親欄が白紙のままです。そんなたかだか100年しかたってない戸籍制度にも差別されなければいけない。
現在プライバシー法もかなり厳しくなっているのでナンバー制が導入されても個人の家庭事情まで調べられることはないかもしれませんが、やっぱり父親のいない子、という見方は大人になってもされるし、保守的な親に育てられた子と結婚することになったら肩身の狭い思いをすることもあるかもしれない。そういうことも考えないといけないという事実を、先に掲げた本から思い知らされました。
解決方法として、母数が多くなりゃいいんだ、母数が。
このページで紹介されている女子貧困本。後で読むための備忘録
失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで
- 作者: 大和彩,小山健
- 出版社/メーカー: WAVE出版
- 発売日: 2014/09/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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女子高生の裏社会 「関係性の貧困」に生きる少女たち (光文社新書)
- 作者: 仁藤夢乃
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/08/07
- メディア: 新書
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あと、これも読みたい。
【シンポジウム】綾戸智恵さんの人生の覚悟の太さ
数年ぶりに参加させていただいたエバシンポジウム2015。
今回はエバ会長、そして司会進行の文化人類学者上田紀行さん二人が病に倒れ復帰した直後、またゲストの綾戸智恵さんはご自身のお母様の介護真っ直中、というリアルに「いのちの重さ」を感じられるトークイベントとなりました。
コーディネーター上田紀行さんの講演。
何本かの締め切りを抱えていた深夜に、突然左半身が麻痺してしまったため、救急車を呼ぶところから、実際に救急車に乗り、検査入院して退院するまでのお話を中心に、ご自身の書著「生きる意味」から現在の若者の「自身のなさ」についてお話。。。かと思いきや、今の奥様(NHKアナウンサーの武内陶子さん)との馴れ初めから、エバ会長との馴れ初め、「そう思うと、感謝しかない」という出来事についてお話されました。
離婚がきっかけで東京を離れたため奥様にお会いしたきっかけが生まれたり、エバ会長とは、当日のパネリストの福田俊介さんの穂高養生園で同室だった際、エバ会長が深夜にビール缶を開ける音がきっかけで宴会がはじまり、それからの縁だったり、という(※穂高養生園はアルコール持ち込み禁止です)興味深いお話だったんですが、その後の綾戸智恵さんのお話が強烈すぎてほぼ忘れました。
そしてメインのパネルディスカッション
ジャズ歌手の綾戸智恵さん、穂高養生園の福田俊介さんを迎え、先ほどの上田さん、エバ会長を交えたメインのパネルディスカッションが始まると、綾戸智恵さんが2分も黙っていられない性分のためステージ上の皆さんを差し置いてほぼ一人語り&インタビュー形式になってしまいました。
今回は事前のお知らせで「綾戸さんは歌いません!」と注意を流すほど、歌を期待してくるお客様に対して慎重だった告知もなんのその、綾戸さんのトークで皆さん満足して帰られる内容でした。
その中でも、大変心に刺さる言葉のいくつか。
・泡となる幸せと、血肉になる苦しみの先に、死がある
・納得の中に、妥協もある
・親は越えられない
(上田さんの「男って種しか植えつけられないし、自分の子供っていう保証がないですよね。父親の威厳ってなんだろう」という発言に対し)
・男の人はそれだけで立派なんやから!
・助けてというのは大切、助けられる自分であることが必要。
誰かを助けたり優しくしたりしたから助けてもらえるんやで
・人間は悲しいかな、利益のない人間とは話しませんのや
いろいろ人生を経てきた綾戸さんの言葉に、皆さん背筋伸びる伸びる。メモるメモる。
・親は越えられない
綾戸さんのお母様もまた一枚も二枚も上手の方で…
もうそんなにたくさん食べられないお母様が、お孫さんに向かって「あんたいくつや、なんや私の1/4も生きとらんのか。それやったら私はあんたの4倍うまいもん食ってる。私の方が得や。」とか言ってみたり、「彼女できたか」って尋ねてみたりとか。まーなんというか、棺桶入るのが近いからっていう余裕からか発言が自由。言ったもん勝ち。
・男の人はそれだけで立派なんやから!
旦那さんが再婚するときに綾戸さんに電話をしてきたときのエピソード。
なんでも綾戸さんに再婚の話しは最後まで出来なかったそう。なぜなら「チエは僕が再婚するなんて知ったら自殺してしまうかも」という自意識過剰からだったらしいのですが、再婚の知らせの電話を受けた際綾戸さんは「それはよかった!おめでとう!!」と祝福してくれるのを聞いて、卒倒したそうです。
男性は必要とされている、と考えることで偉そうに降るま…いや、威厳を持って振る舞い、生きていける生き物なんですね。この後に、上田さんに対して「男の人は立派なんやから!それだけでええやん!」って言葉を放たれていたお声が本当に印象的でした。
もうね、それがわかってたら私も結婚できてたかもしれません。いや、無理か。
最後には持ち込んだCDを「きょうぎょうさんCD持ってきてます、後でサイン入れて販売しますが、皆さんが買うてくれたらそのぶん名古屋のうまいもんをぎょうさん買って帰られるんで、皆さんどうぞ宜しくお願いしますー」という宣言通り、持ち込まれたCDを全部売り切り(綾戸さん本人から呼び込みして売ってた)そのまま名古屋ラブリーのライブに向かわれたのでした。
もうね、かなわんわ、このおばちゃんのパワフルさ加減。
【映画】かあちゃんに贈る歌|葉七はなこ監督
突如元気だった母親が病に倒れ要介護となり在宅介護をすることになった監督自身の経験をもとに作られた脚本の映画です。
ストーリーとしても平易で、時間も短くテーマもわかりやすい一本。
ただ平易すぎて学校教材のような印象を受けました。
私も母を癌で亡くしたので、死に化粧のシーンなど胸に迫るものはありましたが、それは経験者の悲しい思い出を重ねるだけのもので、失礼ながら映画の内容について共感や感動したものではない。
もうちょっと、当事者としての葛藤だったり、介護疲れで投げ出したかったときとか、介護に疲れて誰かに八つ当たりしたときの心情をリアルに描いてくれるともっと迫ってくる内容になったんじゃないかとちょっと残念な気持ちになりました。
震災でも災害でもそうですが、介護も「当事者」にならないと、何をどうすればいいのかわからないという事実。介護申請の窓口がどこかもわからないし、そもそも自宅介護で何を揃えればいいのかもわからない。「介護はいつくるかわからない」というものをエンターテインメントを使用して訴えるという視点は支援したい部分ですので、引き続き作品を作り続けていただけたらと願っています。
これを見に行ったきっかけは、日本介護アロマ協会のみもりひろこさんがトークイベントに出演されるから、という理由から。
彼女も「介護する人をえがおにしたい」という信念のもと活動を続けています。
明日は我が身、だけどいざ起こったそのときに何をどうすればいいのか、今のうちに調べておこうと思います。