よみかき勘定

読んだり見たり行ったり来たりしたことを綴ります

【読書】少年老い易く学成り難し。 人生を面白くする 本物の教養|出口治明

出る本出る本が話題になる、ライフネット生命CEO出口会長。

そして出る本出る本ほとんど手を出しています。

もうね、一度会うとファンになっちゃうほどの好々爺なの、会長

あんな飄々と生きていくにはどうしたらいいのかその方法が知りたくて新刊もついつい本屋さんで購入。

『人生を面白くする 本物の教養』 

・教養とは何か?

・日本のリーダー層は勉強が足りない

・本を読む

・人に会う

・旅に出る

・教養としての時事問題

・英語はあなたの人生を変える

・ 自分の頭で考える生き方

 

など、常に出口会長が出会う人に語る内容そのままですが、それぞれにお話に聞けなかったエピソードなどを交えて書かれていて、一つ一つ読みやすい言葉や文章で書かれていますが、腹に落ちる内容です。

 

とはいえ、四十路を迎えた自分には耳が痛い言葉もたくさん。

「「今更もう遅い」はサボるための言い訳」

「英語を勉強するならTOEFLを狙え」

「仕事とはあえていえば「どうでもいいもの」」

…本当にね、その通りなのです。この年になって気が付いた、というか。

中学生のころに国語の教科書に掲載されていた井上靖の「しろばんば」に出てくる、「少年老い易く学成り難し 一寸の光陰軽んずべからず」という手習いを見て少年が今すぐ家に帰って勉強したくなった、そんな気持ちを今激しく感じています。

 

新書で本も厚くはないので、気になったらさっさと手に取って読んで教養を付けるといいと思いますよ。いやマジで。

 

リクナビネクストの「プロ論。」でも出口さんらしいインタビューが掲載されてますので、よかったら併せてご覧ください。

next.rikunabi.com

【読書】女性の知性の磨き方|坂東眞理子

坂東眞理子先生のご本といえば

女性の品格 (PHP新書)

女性の品格 (PHP新書)

 

お名前聞くだけでなんだか背筋の伸びる感じです。

今回読んだ本はこちら。

女性の知性の磨き方

女性の知性の磨き方

 

 その進化系にあたる本なのかな?と思って手に取りました。

 

第1章「女性の知性の磨き方」は「女性の品格」の内容そのままですが、第2章以降、お悩み投書相談形式で内容が続きます。

その中でも宝玉の御言葉。

 

「育休を”当然の権利”と思わない」

先日も資生堂ショックの話題が昇ったばかりですが、女性の多い職場での産休・育休、時短勤務はほかの独身女性、またお子さんが手がから無くなった女性などにしわ寄せが生き、社内の不満がたまりがち。そんな中「当然」と言った風情で育休をとれば職場のバランスが崩れる、と言った内容です。

www.nhk.or.jp

実際、いまこの少子化の中では「育休・産休はあたりまえ」という風潮がある中で、この「育休に甘えるな」というご意見はものすごく響きました。

年下で、現役で働く友人たちから立て続けに結婚、出産に関しての職場内のガタガタを聞く機会があり、ただ育児をしていく側からの意見もあり…と感じた際に、資生堂のやり方には賛同できるけれども、自分たちが「育休」をとる立場になったら…という不安もあり、考えてしまう部分もありましたが、この部分は自分たちのコミュニティで支えあえるものを作る、利用する、行政を変えていく、と言う方法を考えていくべきなのかなとも思います。

 

「日本の女性には”キ”がない。機会がない、期待がない、鍛えない

…これ、女性に限ったことではないかもしれませんが、社会人になると「女の子」扱いになり、期待されないため鍛えられない、という背景と、その状況に甘んじて何もしないまま職場にいて進化がないため疎んじがられるという事態が発生しがちです…

「何を勝手な」と思うかもしれませんが、職場で鍛えてもらえない分、男性以上に女性は職場外でのコソ練が必要になるし、この本の中でも坂東先生が「仕事プラスアルファをやること。与えられた仕事から、はみ出すことをあえてやってみる」と書かれています。

他にも、「八方美人でいる」こと、「あえて調整役を買って出る、北政所的存在になる」という正直古臭い、と感じてしまう内容もありました、が、それが今後10年まだまだ男社会が続くであろう日本の職場においては、先人の女性たちが残してくれた、生き残るための有効な手段かつ知恵なのだな、と思わずにはおられません。

 

とどめがこれ。

『夫が何もしてくれない』という女性に対しての回答

「私は、家事を手伝ってくれるかどうかよりも、働く女性の夫に必要な資質として一番大事なのは「妻の成功を妬まない人かどうか」ということだと思います。」

…ほんとにね、これ、すごく大事です。

私の周囲で子育てひと段落して起業した人たちがほとんどこれで離婚しております…

浮気あり、DVあり、蒸発あり。

 いや「そんなそんな」って笑うかもしれませんが、まじっす。

 

先日の「男尊女卑という病」にも共通する内容があったので、男性には一定数いる、と言うか必ずいる、ということになります。

yomikaki.hateblo.jp

なので、「妻が働くことに対して」もアレルギーがない、お母様も起業していたり、フルタイムで働いてた旦那さんを見つけるのが手っ取り早いかと思うのですが、逆に高給取りでハードな仕事に務める男性だと「小さい頃お母さんが家にいなくって寂しかったから子供が小さいときくらいは家にいてほしい」的なことを言われちゃう可能性がありますので、ワーキングマザーを目指す婚活女子はぜひそこを見極められるよう頑張っていただきたい。

 

 

んで、先生、婚活はどうやったらいいのか、教えてください…

【読書】そんなもんうらやましかねーわ!『男尊女卑という病』|片田珠美

ええと、いいですか。私の男性嫌いの偏見からモリモリ書きますよ今回は。

 

男尊女卑という病 (幻冬舎新書)

男尊女卑という病 (幻冬舎新書)

 

 この本のタイトルだけ見て、「男尊女卑」って昭和の遺物だしそこから抜け出せない男性に対しての女性からの視点、という内容なのかなー、でもこの平成にこのタイトルで出すっていうことは何らかの視点が変わってるんだろうなー、なんて特に何も考えずに手に取ったのですが。

 

最初の章でガツンとやられました。

 

「男性が偉そうなのはファルス(陰茎)を持っているから」

(※バイアスがかかった要約です)

 

なるほど。

 

今までね、小学校のころはわけのわからない理由でからかわれたり、暴力振るわれたり、上から物言われたり、社会人になってからは不当な言いがかりをつけられたり、道端でどなられたり、正直な意見聞かせて、っていうから本当のことを伝えたらキレられたり、と、ほんっとうに自分を正当化する「男性」に関してはいろいろ辛酸をなめてきて、なんであいつら、生きてることに対して「すいません」って思わないんだろう、あんなにいろんなもの無駄にしたり、必要でもないものにお金使ったり、母親ふくめ妻、女兄弟など女に迷惑かけても申し訳ないなんて1ミリも思わないのは、マジ何故なんだぜ、ってずっと思ってたことが、簡単に答えを出された感じ。

 

あいつら、まだ脳内小学生なのな。

 

それがあるおかげで露出に走ったり外に愛人作って家庭崩壊するんだからそんなもん欲しくねーわバーカバーカ!!

 

と、思わずにはおられないわけです。

 

ただ、これは私が「ファルスに対する羨望」を持つ、というフロイトの理論に脊髄反射しているだけであって、著書の内容に対しての侮蔑ではないのでそこはお察しください。

 

私が一番引っかかって目から鱗だったのがこのファルスの解説部分だっただけなのですが、この本は別にファルスの件ばかり書かれているわけではなくて、実際のそういった事例から、最終章には「主人在宅ストレス症候群」からの逃れ方などのアドバイスもあり、実際にこの本を手に取った人に対して救いとなる内容もあるので、お気になるかたはぜひお手に取ってみてください。

 

結論:男の人は立場を奪われるのが怖い。奪われると弱い。奪われそうになると攻撃する。ので、寄り添ってあげると攻撃されないよ。

 

婚活女子の私に響いたのは「ターゲットにされやすい女性の特徴三つ」。

「罪悪感を覚えやすいタイプ」

「他者の欲望を満たそうとするタイプ」

「自己評価が低いタイプ」

だそうです。

だめんずうぉーかーどころかだめんずメーカーな自分、全部当てはまってるYO!

 

以前、中年期以降の男性が介護職に入ることでの現場の混乱をふくめた内容の、「男性が考える男性たるものの存在」というのが鬱陶しくてたまらなかったので、なんだかその理由が少し見えて、心の余裕ができるようになったらなあと思います。

 

www.gentosha.jp

ルポ 中年童貞 (幻冬舎新書)

ルポ 中年童貞 (幻冬舎新書)

 

 

まあ、無理かな。

 

あと、本文中で引用されていたフロイト小倉千加子さんの本も。

 

エロス論集 (ちくま学芸文庫)

エロス論集 (ちくま学芸文庫)

 

 

増補版 松田聖子論 (朝日文庫)

増補版 松田聖子論 (朝日文庫)

 

 

 【2015.11.15追記】

男の子が女の子に「ちんちんがついてない」っていうのは本当に信じられないことなんですね…ちょっと事実の方がショックでした。(てか引用は田中K一さんの漫画ですが)

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サラリーマン田中K一がゆく!第8話「恋する天才マジシャン」/田中圭一 |AM

 

【読書】株式投資とソーシャルファイナンス

  「投資」という意味ではひとくくりになるけれど「利己」と「利他」の意味合いから投資する「お金の使い方」が異なる2冊を併読してました。 

臆病者のための株入門 (文春新書)

臆病者のための株入門 (文春新書)

 

 「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」で信者も多い橘玲氏の著書です。

株式投資には全く興味がなかった私ですが、以前このブログにも書いた「読書でかしこく生きる。ビジネススキル探しを超えて」で書かれていたので、手にした1冊。

  

yomikaki.hateblo.jp

株、というものが証券会社を通さず直接投資できるようになって、やってみたいけどでも何をどうすれば、何をどう読めばいいのかわからない、という入門書ではありますが、基本的には「株に投資して損せずリターンを得るにはどうしたらいいか」というビビりの人向けの内容でもあります。

そら自分の貯蓄を使うわけですから、サラリーマン一般社会人には「負けられない賭場」ですものねえ。

期せずして、同じタイミングでこの本も見かけて手に取って読んだところ、相対的だったんで並べてみました。

 

ソーシャルファイナンスの教科書―――「社会」のために「あなたのお金」が働くということ

ソーシャルファイナンスの教科書―――「社会」のために「あなたのお金」が働くということ

 

 

『 ソーシャルファイナンスの教科書』著書の河口真理子さんは大和総研 環境・CSR調査部の首席。アダムスミスの国富論だけでなく、道徳感情論もの内容も紹介されていて、文中にはコミュニティ・ユース・バンク momo のご紹介も。

www.etic.or.jp

この2冊がすごく対照的だったのが、「株で儲けたい」と思う人が多く手に取るであろう前者は「株はバクチ」というのに対して、ソーシャル(社会的意義のあること)に投資しなさい、という説明をとくとくと説いている後者は「株はバクチではない」と書いていること。

特に、今までの顧客の例でアナリストが下を巻くほどに想像以上のリターンを得ている人の例が書かれていて、その内容というのが

・株券を発行している企業の研究をする

・半年以上様子を見て下がらない株に手を出す

・手に入れた株は、貯蓄同様必要な時まで手放さない

・上がったから売る、下がったから買うなどむやみに売り買いをしない

という、かなり基本的なことをされている方でした。

現代の、個人投資家も参加する市場で1時間の間に株が乱高下するような即物的な株式投信ではない方が得をする。当然と言えば当然です。

 

ただ、株というものがどうしても前者のように「バクチをうつ」と考える人が群がることで企業の経営に影響が出る、BtoCであればサービスにまで影響が出る。

健全ではないなあ、とは思ってしまうわけです。

 

後者は株の売買という「損益」というものではなくて、前述した「成功者」の例を出しつつ、「投資」と、それから得られる「徳」のようなものを説いています。先日読んだ本でも「お金は交換可能な物質だけれども、徳は積むことでしか得られず、買えない」と書かれていましたが、ソーシャルビジネスや世に必要とされる社会的起業家などに投資することは、これはまわりまわって「徳を買う」事になるのかも。

特に女性や、これから隠居生活に入られる方には相性のいい投資方法かもしれません。

 

【読書】女性のイライラがスッキリ消える食事|定真理子 桑島靖子

あなたのからだはあなたが口にするものでできている。

女性のイライラがスッキリ消える食事

女性のイライラがスッキリ消える食事

 

 というのはようくわかっているつもりでも、日常の生活ではどう取り込んでいいのかわからなくて、菜食中心、米は玄米、味噌汁は1日1回飲む、など自己流の健康法を実施してましたがなんだかやる気が出ない。倦怠感も高い。人に会うのが嫌。

というときに出会いました。この本。

 

女性ならではのイライラ、ストレスって本当にホルモンの働きに拠ることが多くて、それを自覚したのが妊娠していたときでした。PMSに苦しんでチョコレートもりもり食べて低血糖の状態が続き、気持ちが上がったり下がったりするのを毎月のように繰り返して落ち込む、という 「生理前」が、妊娠してなくなったとき、それはまあ幸せな時間だったのですよ。

そんなわけで、PMSに悩む女性、更年期で悩む女性は占い読むよりこちら読んで食べるもの変えるといいかもです。

 

あと、「無性にたべたくなるもの」はそのときに不足している栄養素を補おうとしてからだが欲する食べ物みたいなので、こちらも合わせて対策されるといいかも。

 

corobuzz.com

どうやらパンが無性に食べたい私は、たんぱく質が恒常的に不足しているらしい。

 

んで、食べ物変えた効果のほどはどうかと。

ちょっとやる気のなさだったり倦怠感だったりも気になったので、「ニューロンを活性化する」という効能があるトリプトファンを含む食べ物、プロセスチーズやバナナをちょっと多めに摂ってみたんですよ。

 

そしたらまあ

 

寝覚めがいい

からだが動く

やる気が出てくる(朝のランニング、復活しました)

ぐずらない

 

と、いままでそんな時間かからない仕事に対しても、にとりかかるのがめんどくさくてぐずぐずしてたお仕事もサクサク進められるようになり、仕事にも好影響。

 

こんなに食べるものって影響するのね、と、今まで敬遠していましたがお肉類も積極的に摂るようにしたいと思います。

 

【読書】脱貧困の経済学|飯田泰之+雨宮処凛

このところ「貧困」をキーワードに何冊か読んでいるので、そのうち1冊。

 2009年と2011年、震災前・後に経済学者の飯田泰之氏と反貧困ネットワーク雨宮処凛氏による対談形式で、貧困が起こる経済状況をワープアプレカリアートの視点から見る、というものですが読んでて腹が立った、というか、呆れてしまった。

 

脱貧困の経済学 (ちくま文庫)

脱貧困の経済学 (ちくま文庫)

 

 

だって、すげえ要求。

プレカリアートが企業、国に求めるものとして

 

1. 最低賃金は時給2000円にしろ!

2. 派遣切りをする前に、内部留保を取り崩すか、経営陣が減給しろ!

3. 派遣の使い捨てをやめろ!

4. 低収入・無収入者に住宅援助をしろ!

5. 生活保護の「水際作戦」をやめろ!

6. 結婚・子育てしたい人ができる社会に!

7. ベーシック・インカムを月15万円よこせ!

8. 全員分の仕事って、ほんとうにあるのか?

 

だそうです。開いた口がふさがらん。 

2009年で「ワープア」が話題になったあたりで書籍化されているものなので、この内容も6年前と考えると、また世情も世間の見方も変わってきているので受け入れられ方も違うかもしれない。

 

なのだが、

実際に派遣で働いてる人、派遣で登録する人がアカン

というのを体験してしまったため、どんだけ夢見がちなんだ、と思わずにはおられません。この書籍に登場してくるような、工場での派遣や低賃金での労働を受け入れている労働者とはまた差が出てくるかもしれませんが、実際に私の体験した派遣社員

NPO等の就労支援施設で住居を提供する場所に居住

・面接用のスーツも持ってなくて派遣会社の担当者と一緒に買いに行く(その金派遣会社持ち)

・仕事初日の研修で、ついていけなくて1日目でトンズラ

・居住元の就労支援施設にも戻らず

・よくよく聞いたら東京とか大阪とか転々としてた

・多分他の仕事にもついていけず毎回逃げてる。そしてワープア

というものでした。

企業は現在、派遣社員というのは派遣先での面接からの採用合否を出すことが禁じられているので、プロフィールを見て受け入れるしかない状況。賞罰自体も把握できない上で派遣社員を受け入れるって、結構ハードル高いと思うのですが、そこは派遣会社の質と信用度を受け入れるしかないけれど、結局派遣に流れて登録している人は派遣でないと働けない何か事情を持っていたりします

彼らは常に流転していて、職業を持って自ら生計を立てる、という考えができないという点ですでに破綻しているのではないかと。そんな人たちに段取りのいる仕事や判断を任せるような仕事ができないのは当然と言えば当然で、最終的には単純作業の仕事がメインになってしまう、という図式が浮かび上がりました。

ということは、いつか機械や外国人労働者などに取って代わられる存在であり、上記のような要求を国、企業にするよりもプレカリアートを支援する層が、彼らを働かせるコミュニティなり企業を建てるほうがよっぽど健全なんじゃないかと考えるのですよ。

でも彼らは「要求」することだけしかしない。なぜか。

貧困に関するルポなどで分かった、貧困層に共通する条件

(1) 全てにおいて受け身

(2) 政治や企業のせいにするが制度の利用はしない

(3) 状況を改善しない(できない)

(4) 家庭が貧困であったり片親であったり、地方で賃金が低い層で育ち、知識が薄い

とくに(4)が曲者で、親の姿をみて育つ子供に、それ以外の世界を知る方法などないが故に「貧困が遺伝する」のだな、としみじみ感じてしまう。

 

だからこそ「貧困を止める」ために投資が必要なのだな、と理解しています。

business.nikkeibp.co.jp

 

特に、「その立場に近い」と自覚した上で「私たちはその中から努力した這い上がってきた」と自称する層は、その貧困に対して「自己責任」を発言しがちな印象があって、TwitterなどSNSやインターネットに触れる時間が長い、テレビなどを恒常的に見る、定時帰宅の正社員たちなど、発言する時間があって「給与は高くないけど他人の生活に茶々を入れる余裕がある」ため、年収差としては倍程度かもしれないけれども貧困層のすぐ近くにいるように思えてしまう。いわば「隣人に救いを求められない」のではないかとさえ思えてくるのです。

そんな救いのない彼らが、貧困から脱出するのに「救いを求められない」「教えを教示されない」状況にあるという図式がなんとなく眼に浮かんできます。

 

正直なところ、「働けない理由」は数多くあると思うけれど、貧困層には「手を差し伸べる」しかないのか。システムを作ることはできないのか。

 

対談をされている飯田さん、雨宮さんともに大学卒。その時点で、彼らの人生ともまた視点が違ってきているはずなのに、そこをあえて支援していくのにはどんな考えがあったのだろうと、思わずにはいられなくなりました。

 

このところ読む本読む本で、「貧困と貧乏はちがう」「ホームレスと貧乏はちがう」というのを眼にしているからか、なぜ貧困から貧乏へランクアップできないんだろう、とつい考えてしまう。

すでに、ランクアップという時点で差別なんだろうか。

【読書】男性論 -ECCE HOMO- |ヤマザキマリ

ライフネット生命、出口会長のブログから早速手にしてみた1冊。

media.lifenet-seimei.co.jp

 

婚活中、というのもはばかられるような年齢になった今でも、既婚男性に口説かれたり誘われることも多く、しかしながら自分の世界を手放さずに結婚したいけど妥協もできないしでも親に孫も求められてそろそろ考えなきゃな〜なんて20代の女性を隙あらば狙う30代後半〜40代独身男性の都合の良さも目の当たりにして「男なんて!!」となっている自分の視点が変われば…なんて淡い期待を抱いて読み始めたんですが、ますます現実を知って自分が殻を張りそうな勢いになってしまいました。

 

ヤマザキマリさんがこの本の中で挙げる男性像は、いわば「無欠」の男性。

まずはローマのお話から始まるこの本。私の通っていた高校は、受験をしてまで進学することをあまり推奨していなかったせいか授業の内容の進みも遅く、世界史の教科書でずーっと「世界三大文明とは」のあたりから「三大発明は火薬・羅針盤活版印刷」のあたりでうだうだと終わっており、美術系だったのにルネッサンスも絵画や芸術に触れるのみであまり深い学習をしてこなかったので、ローマ帝国について簡単にかいつまんで歴史知ることができる、わかりやすい内容でした。この本で紹介される男性は多岐に渡ります。ローマ皇帝であったり、安部公房であったり、花森安治であったり。それぞれ理性的であったり人間味があったりして、でも理数系と文系を併せ持つマルチな才能の男性ばかりです。

 

ただ…時代の違う骨太な男性について、ヤマザキさんが歴史上の素晴らしい男性にどんな風に恋に落ちているのかを読み進めるが上に、なにかにつけ人のせいにして、女性のせいにして自分の世界に閉じこもる現代の日本男性のギャップを感じて、改めて諦めざるを得ないような空気を感じることに…。

その男性論の章の締め括りにあった「オスは狩りに出る。家で飼ってた雄猫が、通りを挟んで向かいの建物にかわいいメス猫をいるのを見つけた途端、高層階ということも忘れて飛び出し落ちて死んだ」の一節で爆笑してしまいました。

ほんと、男の人ってそういうもんですよね…。

 

女性論についても語られていますが、ヒラヒラの服装にしろ完璧なメイクにしろ、甲高い声で無知を装う言葉にしろ「なにしろ日本の女性は男性に媚びすぎ」という厳しいお言葉が書かれておりました。

いや、専業主婦になりたいと、夢見る女子は20代前半までかと思います。20代後半で「あれ?結婚て親ができてるから舐めてたけど、思うほど簡単じゃないぞ?」という現実に気がつき、特別なんの取り柄もない自分が人並みのお勤め人と結婚できるようになるのに、年齢が上がるにつれて現実味が増す専業主婦の狭き門と、共働きや育児と仕事との両立を視野に入れて生活力のある男性を血眼になって探し、ママちゃんに庇護されてなんでもやってもらう、女性に歓待してもらうのが当たり前の男性に、なんとか受け入れらるよう「ヒラヒラした服」であの手この手でステディな関係に持ち込もう、プロポーズしてもらおう、と必死です。

わたしの周囲の働く女性は一人でも全く自立できるし一生生活もしていけるはず。でも子供を産んで家庭を築くための「結婚」をするためには、どうしてもパートナーが必要なのでそんな受け身の男性の所で「俺が選んだ」というテイで男を立てた上でプロポーズまでさせてあげなきゃいけない。相手の気まぐれに翻弄され、二度、三度の挫折を味わっている30代の婚活女子を何人も見ています。

そんな受け身で自分の時間軸とプライド、社会的地位のみで自分を推し量り、でもプライドを捨てられず、20代前半で自分が全て上から物が言える無難な相手で手を打つ日本人男性に対し、諦める日本人女性も見切りをつける日本人女性もたくさんいます。

 でも「だからといって国際結婚に夢を見るな」(当然ですが)ともおっしゃる。

いや、どーしろっちゅーの(笑)

女性から男性を変えていくことはとても大事だとは思うのですが、高齢出産も珍しくなくなった世の中とはいえ、同じ女性として、やっぱり出産までのタイムリミットを抱えた女の子たちが「ヒラヒラした服」で最短ルートを狙うのは、致し方ないことだとは思ってしまうのです。

 

著作自体は、テルマエ・ロマエの映画原作使用著作権が100万円発言で話題となったのちの発行だったこともあり、文末にそのことについて触れられています。

わたしはそのころあまりヤマザキさんの著作や発言を拝見していなかったので存じ上げなかったのですが、こうして詳細を拝見するにつけ、日本の慣習を、海外に住む「同じ日本人」に持ち込んでしまうのは、あと20年くらい続きそうだな、と感じてます。

ローマ帝国も、侵略と拡大を続けながらも、周辺民族や領土となった先の民族とうまく調和したり共存するための政策を持ち、1000年続いた。発展するには「外交」が必要、とこのヤマザキさんの著作を紹介されたライフネット生命の出口会長もよく口にされています。日本もそういうステージに来ているはず。

なので、日本の男性には海外から流入する男性に日本人女性を娶られてくという危機感を感じて、もう少し変わってほしいなあ、なんて夢想する次第です。

 

男性論 ECCE HOMO (文春新書 934)

男性論 ECCE HOMO (文春新書 934)

 

 でもね、マリさん。わたし、「常に語らう相手」が見つかるまで、婚活頑張れるか自信ありません。